宇部・美祢高速道路(宇部興産道路)  その1 その1 その2 その3 その4  その5 企画TOPへ

戦時統合で炭鉱会社やセメント会社など4社が合併してできた宇部興産は,1967年から1975年にかけて美祢市伊佐地区と宇部市にある拠点工場を結ぶ専用道路(正式名称−宇部・美祢高速道路 通称−宇部興産道路,興産道路等)を建設している。

主として美祢市にある石灰石鉱山からの石灰石とセメント工場で製造されたクリンカー輸送のために使用されるこの道路は,延長28.27kmという全国一の規模を持つ企業専用道路だ。

普通に考えれば,ベルトコンベアーが一番経済的だろうと思うが,社内や株主,金融機関等の反対もあったなか,地域振興とか汎用性,100年先を考えてということで宇部と美祢を直結する道路を建設することになったようだ。

建設費は最終的に240億円。資材調達や設計施工のかなりの部分が自前でまかなえるであろう,大企業であっても結構な金額がかかっている。その分,現在でも陳腐化を感じさせない立派なものだ。

普段は,ロードトレインとも呼ばれる専用の70tダブルストレーラーが走っていて,もちろん関係者以外は通行禁止である。

広島アジア大会の際には自転車のロードレース会場としても使用され,トンネルなど一部区間を除いて上下分離の4車線,1箇所だけ別の専用道路と平面交差している以外は,完全立体交差の高速道路並みの道路(最小半径=400m 最大勾配=3.0%)だ。


宇部興産伊佐セメント工場 位置

ここで製品をトレーラーに積み込むのだろうか。 位置

1967年11月 工事着手(宇部興産株式会社 石灰石輸送開発部設置)
1972年 9月 国道190号交点(宇部市東須恵)−楠町船木間 開通
1973年10月 美祢市堀越−伊佐セメント工場(美祢市伊佐町)間 開通
1974年 5月 楠町船木−美祢市堀越間開通
1975年 4月 国道190号交点(宇部市東須恵)−宇部市西沖の山開通
1982年 3月 興産大橋(宇部市西沖の山−小串)開通


美祢側終点(伊佐川を渡る)  位置

反対側から見たところ  位置

美祢市にある伊佐セメント工場が起点となっている。工場内からスタートしているので取り付け等は確認できない。
伊佐工場を出て,南へカーブした道路はすぐに国道を渡っている。法面はきれいに刈り払われ,高速道路などよりよほど手入れがよい状態となっている。


国道435号交点  位置

国道435号交点から宇部方面  位置

農道橋(高速道路並みの金網つき)  位置

ダブルストレーラー  位置

伊佐から南へ向かう興産道路は,中国縦貫道及び県道と平行して堀越峠(涼木峠)を越える。ヘアピンなどもあり傾斜のきつい県道に対して,巨大な専用道路は直線的に峠へ向かう。
この峠には,唯一のトンネル構造物となる伊佐隧道が建設されている。美祢市側は藪の中にあり坑口を見ることはできない。
平行する県道は,興産道路のトンネルの上を通って峠を越える。また,中国縦貫道もトンネルなしに峠を越えている。


農道橋(伊佐隧道方面)  位置

急なヘアピンを抜けた県道30号  位置

向こうに見えるのが中国道  位置

伊佐隧道の上から美祢方面  位置
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